しばらく連絡をしても2日ほど既読がつかなかったため、捜索願を警察に届け出るか検討していた。
流石に1週間は待ってみるか…と思い、特に連絡をせずに待っていたところ、
既読がついた。
とはいえ、既読がついただけであり、
「落ち着いたら連絡をください」
「本人からではなく病院の方からでもいいので私の電話番号に連絡をください」
「既読がつかなかったら捜索願を検討します」
「税金の督促状が来ていますよ」
しか話していないんだから、返信をくれるはずがない。
既読がついたのはいいものの、これは私も失敗したなと考えている。
既読がついたから捜索願いは出さずに済むのか?と考えても、そうはならない。
誰か他の人が既読だけつけている可能性だってあるし、既読をつけたからと言って精神が正常になったわけでもない。
しかし限界だった私は、既読だけでも…と言ってしまっていたので、仕方なく追撃メッセージも送れず、既読になっている右側緑色で埋め尽くされたスクリーンを見つめている。
Geminiにずっと相談しているが、Gemini先生が言ってくることは至って単純。
もうこんな人に構ってあげるのはおよしなさい。
私のお母さんも同じことを言っていた。
構ってあげているんじゃない、家が心配だしこのイレギュラーに戸惑っているだけなんだ。
そうGeminiに返信すると、とにかく返信だけはもうするなと言われる。
多分私よりもGeminiの方がコミュニケーションがうまいに決まっているから、LINEや電話帳の名前を“連絡しない”に変更し、彼からのメッセージを待つ。
彼とは位置情報を共有していた。しかし最近は接続がうまくいかず、お互いどちらかの位置情報が見れないことが続いていた。最近は私の位置情報だけ見ることが一方的に出来たらしいが、返信もしてこないやつに私が飲んでいる居酒屋がバレるのはあまり好ましくないので連携を切ってしまった。
Gemini先生からは、そうやってつながりを切ることは英断です!と褒められる。
唯一私が彼の生存を確認できるのはヘルスケア連携だけだ。ヘルスケアは自分が許可した項目を共有することができ、私のデータは切ってしまったが(理由は同上)、彼のデータでいうと、唯一1日の歩数くらいは見ることができる。
とはいえ、常時更新でもないし、どのタイミングで更新されるのかはわからないので、寝る前に確認して、2万歩も歩いてんなら多分生きてんな、と思うだけであった。
まだ今日は8:40、2,668歩から動いていない。電波の悪いところにいるからなのか、エアビに引きこもっているからなのか分からない。
こうやっているのかいないのかわからない人物の帰りを待つのはこうも大変なのかと思う。
4章限マトリクスを想像してください
①帰ってきたとして
①-a 帰ってきたけど異常
帰ってきたとしても、異常のまま、僕はどうしたらいいのかわからないと泣き叫びながら話し合いを放棄し、家賃だけは払うから!と言い残して公園やエアビで寝泊まりする日々が続く
①-b 帰ってきて正常
もし正常に戻っていたとしても、今更話し合ったところで、正直話すことがない。何か逃げ出したいことが起こったら逃げ出すダメな大人、というのは過去の行動でレッテルが貼られてしまっている。それを変えるためには行動で見せるしかないが、再度行動を起こすのか見守ることすら苦痛であるのが本音だ。
②帰ってこなかったとして
②-a 帰ってこなくて異常
ずっと帰ってこず、家賃も払わずに経過するかもしれない。家賃を払わなかったらここを出て行くのは決定だが、それにしても9万円+退去費用の出費はなかなかに痛い。それをご家族に請求したとて、何も連絡を取り合わないご家族が私に差額を返金してくれるとは思えない
②-b 帰ってこなくて正常
この家には帰ってこないが、どこか別の場できちんと話し合いをし、退去費用はじめ婚約破棄の慰謝料なども耳揃えて払う気があると謝罪をしてくれたら、まだマシだと思う。確かに過去の旅行や日々の輝かしい思い出をすぐに忘れることはできないが、現在の経過から考えるにこれが一番好ましい結果だと思う。
結局この記事を書いている間も彼からのメッセージは1通もない。ただ捜索願いは出さないでくれ、お前とは話したくねえという意思表示だろう。
10年越しの反抗期
話は飛ぶが、彼が旅に出る前に会った際、彼には反抗期がなかったという話を聞いた。
「4兄弟の長男、自分が子供であったのは3歳までしかなかった。
幼い頃から大人であることを強いられてきて、僕は反抗期すらなかった。
反抗期は成長のためには確かに必要なものだったんだと思う。
なんでも我慢して、いいよってやってあげて流されてきたから、
だから僕は自分がないんだと思う。
僕っていつも流されてばかりで、シオンが言うことを聞いてるだけだったでしょ?」
「じゃあ、今が反抗期なんだね。そうやって分からないって思考から逃げることがあなたなりの反抗だったんだね。」
私は嫌味たっぷりに優しい声で言った。嫌味は伝わっていないはずだ。
こんなに頑固で自分のやりたいことを貫き通す人が自分を持っていないなんて面白い解釈だと感じたが、ここで否定しても議論は進まない。触れないのが一番である。
しかし今になってわかる。
家族に今更甘えることもできず、この2年間で一番甘えることができる相手は彼女である私だった。
そこで今、彼女である私に精一杯の反抗をしながら、一人で自分というものを整理しているんだろう。
2年しか付き合っていないはずなのに、25歳にしていきなり反抗期の息子を抱えるのは辛いものだ。
私はもちろん母親でもないし、家族としての扱いも受けずに彼が退院する際によそ者として病院に取り残された人なので、反抗期は付き合う気がない。
しかし反抗期の息子に返信しなさいと言っても無駄に決まっているので、ここは沈黙を貫き通し、反抗期が終わり正常に戻り、輝かしい変化を伴った彼が現れ、来月の家賃を払ってくれて全て元通りになるように願いながら、今日もまた、記事を更新するのです。
