連載「同棲している彼氏が出ていった話」

同棲している彼氏が出ていった話:4

CREDIT 文・Shion Oyake

かれこれ彼が出ていって2週間半経った。一人の生活には慣れたもので、全く自炊をせず裸族として過ごしている。

一人で座るダイニングテーブルほど虚しいものはない。
今や彼と選んだビンテージのダイニングテーブルは陶芸用の机と化し、
彼が好き好んで買った一人用の皮のソファーは私の定位置となった。
壊れかけの椅子を灰皿・ワイングラス置きとして、限界廃人生活をしている。

最近彼には帰ってくる期限を設けた。
そして帰ってこず、それから4日間音信不通になった。

切り替えて別れて引越す話をした途端に4日間の音信不通になり、私は

「やられた」

としか思わなかった。体の心配など皆無。

彼は超ケチだ。私との旅行代を全額払ってくれるし、欲しいと言ったものを渋々買ってくれるので、超ケチとは語弊があるが、金を使うところと使わないところをきっちりしている。
彼が引っ越しの費用や退去費用をできれば払いたくないと思っているのは明白だった。
口では全額払うと言うものの、金額を出したら毎回誤魔化す。
今回は逃げられてしまった、そう思った。

私は父と母に連絡し、彼の実家へ向かうことにした。
流石に息子が引っ越し代金や税金を踏み倒していまだに逃亡中だと分かったら、彼らも私に協力してくれるだろうと目論んだことだった。

結果は、なんとフルシカト。

もしかしたらリビングの電気をつけっぱなしで出かけただけかもしれないが、2回のインターフォンには何も反応がなかった。
彼の性格や事故後の対応をみて覚悟していたが、まさかここまでとは思っておらず絶句した。

4日後のライン

その日の夜に彼から連絡があった。こちらは弁護士対応になることを確保していたので、まあできるだけ優しい返信をした。

以前の10センチくらいあるメッセージとは裏腹に、今回は6センチくらいのメッセージ。
内容はぶっちゃけ覚えていない。
しおんちゃんはどう思ってる?僕は何もわからない、みたいなことを言われた気がする。

もうしおんちゃんは何もわからないよ。

とは言わず、人との縁を大事にすること、メンヘラを爆発し続けると周りの人に迷惑がかかることを丁寧に説明した気がする。
正直自分が何を話して何を望んでいるのかはもうわからない。

彼のスペック好き

冷静に、彼は普通にかっこいい。
高身長で、イケメンで、変なところオタクで、料理がうまい。
少しぽっちゃりしてきたけど、運動も頑張っていて、私が深夜2時に迎えに来てと言っても来てくれるくらい優しい。
私よりも仕事を頑張っていて、フリーランスだけど年収も彼の方が高い。これは結構重要。

しかしメンヘラ、ネガティブ、一度決めたことはどんなに反対意見を言われても突き通す悪い頑固さを持っている。全てを音楽で考え、詩で考え、対話中に2時間中断して詩を書いてくる、音楽を作る、しかし音楽は一向に公開しようとしない。なぜなら公開してしまったら自分が評価されてしまうのが怖いから。

良いところと悪いところを考えて、どれを取るべきかと考える。
彼とは音楽の趣味がすごく合うし、ライブに行ったらすごく楽しい。
食事の趣味も合うし、旅行のしたいことも基本的にめっちゃ合う。

彼のスペックと、趣味の合い具合を考えた時に、この東京にそういうシングルがあとどれくらい残っているだろうか?と冷静に考えてしまう。
How I met your motherでも同じようなシーンがあった。スクリーニングして人を選んでしまうのはどうも良くないらしい。

しおんちゃんはどう思う?

しおんちゃんはもうわからない。
ずっとワイン飲んでタバコ吸ってぼーっとしていたいし、
もし彼が改善する気があるのであれば、私はできるところだけ協力しながら、ひとり遊びが上手くなって彼に依存しないよう(深夜2時に彼を呼び出さないよう)自分を改善したいと思う。

しかし彼が今望んでいることはきっと、過剰な愛情に決まっている。
決まってこういう時は、拒否しまくっても私が愛しているのかを確かめている。

しおんちゃんはね、家でワイン飲んでいる時に何も話さずギターを弾いてくれる彼さえいれば、何もいらないんですよ。

ていうかこういう時にしおんちゃんってメッセージしてくるあんたの神経どうなってんだよ。

現在の彼

前回は群馬にいた彼だが、今は沖縄にいるらしい。
本当は沖縄日帰り旅行をしようと思ったら、着いた瞬間便が無くなり、現在立ち往生しているとのこと。

自暴自棄になった金のあるメンヘラは天気予報も見ずに沖縄に行くため理解に苦しむ。
とりあえず彼には泡盛を買ってくるようにLINEを送り、話を終えた。

← 前のNote 同棲している彼氏が出ていった話:3

Notes一覧へ